――しゅうまつの王子が目ざめたとします。さて、わたしたちはどうすればわざわいからみを守れるのかな?


しゅうまつの王子とは
おがみさま、めがみさまどちらかの強い血をうけついだ王子。
国のわざわい
国をほろぼす

しゅうまつの王子がおこすこと
いち、しんでんをこわす
に、地の神々があれ始める
さん、しばらくしてから…国のはかいを始める

わたし達にできること
とにかくにげること。
強いはどうの力をもつものにしたがうこと。

しゅうまつの王子をたおすには
でんせつのおとめのぎせいをえる
それがたった一つの方法――









「たったそれだけ。簡単でしょう?」



石板を抱えた少女は小さな唇を優しく綻ばせた。
ウエストリア王国は大きく三つの地域に分けられる。東のライサーク、西のシグ ヌス、そしてそれに属さぬ首都グローリーを中心とした中心部。
ここはその中でシグヌス地方の都といえる街、シトラスの平民が生活する住宅街 である。
小等学校が終わって帰宅したばかりの子供達は、石板を持った少女を囲んで真剣 に聞きいっていた。
「……しゅうまつの王子ってなに?」
一人の少年のたどたどしい声に少女は目を細めた。こうやって彼女は一人一人に ちゃんとわかるまで丁寧に説明を重ねている。
「それはね、百年に一度地上に遣わされる賢き男神様と強き女神様の愛し子…大 切な御子様ってところね。だけどわたし達や国には害を及ぼすの、だから終末の 王子。……でも大丈夫、ちゃんと防ぐ方法を知っていれば逃げる事は出来るわ。 」
ただ少女の身なりはこの辺の子ども達とはかけ離れていた。ふんわりとしたシルエットを描く膝丈のスカートは良質な絹であるのは明白だし、上着や裾に ふんだんにあしらわれているレースも最上級品だ。裸足の子ども達の中、一人皮 製のブーツを履き、靴下一組でもかなりの値がつきそうだ。しかしながらこれは 彼女にとって部屋着でしかない。速い話彼女の部屋着は外着なのである。普通の 服で出かけるとそれはそれは目立ってしまうから…
歳の頃は一応十五なのだが、せいぜい十三程度にしか見えない小柄な体型と幼い 顔立ちをしている。りすの様にくりくりした瞳が印象的で、愛らしい顔立ちだ。
透ける様に薄い茶色の髪とは対極に何処までも深い青碧の瞳。髪は強すぎない弧 を描くくせがあり、高い位置で上の髪を二つに結って垂らし、下の髪はそのまま 垂らしていた。結紐にはからたちの花が挿してある。
「男神様と女神様の属性って…三歳の祝いの時に神殿で賜るものですか?」
「そうよ、よく覚えているじゃない。終末の王子は必ず偏った強い属性を示すの よ、男神様と女神様、交代交代でね。今年は確か男神様の属性の王子が生まれる はずだから…伝説の乙女は女神方からね。」
「終末の王子はどうやってわかるの?」
「男神様も女神様も、神殿があるでしょう?この街にも女神様の神殿があるよう に。その中で一番由緒正しきここと、ライズの男神様の神殿。そこにそれぞれ白 鳥の剣、蒼鳥の剣が納められているの、終末の王子は神からそれを授かる…あと 、確か特別な痣があるっていうのも聞いた事あるかしら?それはわたしもよく知 らないけれど。」
彼女の講義は学校より断然わかりやすいと評判だ。質問も次々飛び交う。
「じゃあ伝説の乙女ってどんな人?あたし達を助けてくれるのでしょ?」
「今年の場合は女神様の側から生まれる、強い波動の力を持つ乙女よ。この辺は 基本的に女神様の属性が多いからもしかしたら近くにいるかもしれないわ、多分 強くてすごい人よ。」
幼い子ども達は無垢な瞳に眩いほどの憧れをともした。可愛らしい仕草が少女の 苦笑を誘う。
だが、次の一言で少女の表情が一瞬で固まった。
「じゃあ、チェルリス様じゃない?」
「そうだよ、チェルリス様って強くてすごいだろう。」
そうだそうだ、と騒ぎ出す子ども達に少女は冷静を取り戻した。
「もぅ…どうしてそんな突拍子もない発想をするの?」
すぐにいつもの笑顔に戻り、明るい声で告げる。しかし子ども達にはわからない 程度に声は固さを含んでいた。それでも更に彼女は続ける。
「…それに、残念ながらわたしの賜った属性は男神様なの。だから絶対に違うわ ……あら、ようやくあなた達のお兄様方が帰ってきた様ね。」
もう、待ちくたびれちゃったわ、チェルリスという名の少女は石板を置いて立ち 上がった。それと同時に心の支配も取り戻す。ついで周りの子ども達の瞳も先程 とは違う輝きを放った。
「今日も負けないから応援よろしくね。」
「チェルリス様がうちの兄貴になんか負けるはずないだろ。」
「うちのお兄ちゃんなんか、前チェルリス様に勝つためだけのとっくんしてたの よ。」
子ども達の喝采の声にチェルリスは心から目を細めた。
「そう……それは楽しみだわ。」
そういった横顔は先程までより幾分無邪気に見えた。前を見なくてはならない、 わたしは戦わなければ。
「……さて、戦いの女神様の祝福はわたし達の誰に与えられるかしらね…」



模擬試合用の剣が立てる音は、まるで楽器の音色の様で心地よい。
とどめに相手の剣を叩き落とそうと自らの細剣レイピアを構えたチェルリス だが、前の青年が地に膝をついたのを見て動きを止めた。
肩で息をしていた青年は力ない声で言った。
「……降参です、チェルリス様。」
「あら、もう終わり?」
つまらないわね、と呟きながらもチェルリスも膝をつき、青年に手を差し出した 。上向いた掌は剣を握れるのが不思議なくらい柔らかだ。
「ありがとう、いい試合だったわ。最近はほとんど練習する暇はないでしょうに 」
「……それは、チェルリス様こそでしょう?」
「あら、そんな事ないわ、わたしは時間を見つけては訓練しているもの」
でも最近、その時間が見つからないのよね…とかなり矛盾した事を言っているチ ェルリスを周りの青年達はいつもの如く呆然と見つめていた。
自分より頭二つ分程背丈のある青年に手を貸しながらチェルリスはにっこりと笑 う。そんな無垢で優しい仕草に心奪われる男子も少なくないのだが、彼女に手を 出したらどうなるかわかったものではないと同時に危機を覚える。その他諸々の 理由で彼女に下手な事はしないのが暗黙の了解だ。
チェルリスが帰りを待っていたのは今年十五の成人を迎え、それぞれ大人として 働きに出た小等学校時代の同級生達である。どれも体力や若さは溢れる盛りであ り、少女に負けたなど公言するのは恥ずかしいにもほどがあると。
しかしながら彼らは一度も一人たりとも模擬試合でこのいかにも幼くて可愛らし いチェルリスから勝利を奪い取った事はない。体格と力の差は明らかなのに、チ ェルリスの巧妙な技巧と身軽さに立ち打ち出来ないのだ。一部は彼女が跳ねる時 にはためくスカートや髪に挿した甘い華の香りが気を散らせるというどうしよう もない奴らもいるが、そんなのは大抵秒殺である。
「あら、チェルリス様が来ているわ!」
「本当かい?どれどれ…」
気づけばチェルリスの周りには子どもや青年達以外にも沢山の人々が集まって来 た。
「お久しぶり、皆。元気そうで何よりだわ。」
チェルリスは老若男女見境なく明るい声を掛ける。背丈のない彼女が囲まれると まるで押し潰されてしまうのではないかと不安になるのだが、彼女の顔から笑み が消える事はなかった。
チェルリス・シトラス。この街にこの名を知らぬ者は存在しないだろう。街の中 で誰よりも愛されていると言っても過言ではない、シトラスの街のかけがえのな い華。
古の名家を鼻にかけず、誰にでも明るく声を掛ける。家から逃げ出してきたり無 邪気な一面を持ち、それでいて村人や子ども達に惜し気もなく豊富な知識を伝授 する。例えばあまり学歴がないおばあさんなどには最低限の神話の知識を、娘達 にはいざというときに役立つ薬草の知識を、青年達や子ども達には剣の技術も開 けっ広げだ。
だが何より彼女が愛されるのは街の人々と同じ空気を吸って、同じ言葉で笑う事 かもしれない。
「なぁ、お前今日の試合のチェルリス様の技見たか?お前にはまだまだ勝てる見 込みはないな。」
「うっせーな、お前だってねぇだろ?…そもそも、チェルリス様に今まで勝てた 奴なんて…昔、一人いたか。」
「あぁ、あいつか。確かに…」
青年は言葉を止めた。大方チェルリスに気を使った風だ。だからチェルリスも敢 えて明るい声で言う。
「あぁ…スワンの事ね、確かにわたしもあの子には勝てないわ。あの子は…強い もの。それに国の軍隊の兵士や兄様だってわたし、が、かなう、はずは……」
チェルリスの言葉のはぎれが徐々に悪くなり、声も小さくなる。その瞳は人ごみ をかきわけて現れた長身痩躯の男にあった。
全身黒装束ながら穏やかに見える男に、チェルリスはぼそりと呟いた。
「……もう見つけたの?シーホーン。」
男は含み笑いを浮かべると大真面目に頷いた。
「ええ、そのようですね。チェルリスお嬢様。」
瞬間、チェルリスと世話係シーホーンの追いかけっこが再開・・した。



「……チェルリス。私の言った事がわかりましたね?」
きびきびとした女性の声に、チェルリスはまた不機嫌そうにうつ向いた。磨かれ た壁に反射した叱責がまた気分を悪くする。
世話係に強制連行されたチェルリスは大嫌いな普通の服ドレスに着替させ られ、両親の待つこの部屋に引っ張り込まれた。
柔らかい生地で丁寧に織られたチューリップ型のドレスは小柄なチェルリスにと てもよく似合っている。ただし表情が何処までも仏調面でなければという条件付 きだ。
そしてその性情も服が変わっただけでは大差ないのは確かである。
「……もう、どうしていけないのよ!わたしは今日ちゃんと勉強したし、大大大 っ嫌いな数学の宿題までやって、ちゃんと薬草の世話もしたわ。そしてシーホー ンがちょ〜と目を話した隙に少し出かけただけじゃない!」
「少しは反省したらどうです!!あなたはもう一応とりあえずこれでも成人した 女性で、時期シトラス家当主なのですよ!むやみやたらと外に出るなと…」
「わたしはまだ波動の儀式を受けていないわ、母様はそれがシトラスの女性の本 来の成人だといったじゃない!それにむやみやたらと成人という言葉についた接 続詞が全く説得力に欠けてるわ、ついでに成人していない去年だって同じ様に怒 ったじゃない。」
チェルリスの言い訳はめちゃめちゃの様で全て理に叶っている。だから母親とし て頭が痛い所なのだ。
「もう、貴方もなんとか言って下さい!」
チェルリスの母で現在シトラス家の中枢で地域政を支えるセタイアンはとうとう 娘の叱責を夫に押し付けたのだが。
「まぁまぁ、いいじゃないか。チェルリスは勉強はしっかりやっているし。」
「あら、父様もそう思う?」
父様大好きよ、チェルリスの言葉にシトラス家総括人のケンチェルは嬉しそうに 頬を緩ませた。元来おっとりしていて貴人らしさに欠き、威厳という物が欠落し きっているケンチェルに妻であり実は人の事を言えないほど男らしさに溢れるセ タイアンは怒りを露にし、こう言い切った。
「この子に欠けているのは心構えです!ついでに貴方は私の夫の自覚が欠けてい ます!」
これには貴家のケンチェルもあわてた。
「おぃ、ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「貴方といいウェストワードといい、うちの男共はこの子に甘すぎます!」
些か話がズレ始めた母。これもいつもの事なので、チェルリスは既に蚊帳の外だ った。足元に寄ってきた愛猫ローズマリィを膝に乗せ、背中を撫でてやる。猫は 好きだった、自分の世界を自由に動く様が…
ローズマリィが猫手で耳を塞ぐ仕草をするのをチェルリスは見逃さなかった。何 せ彼女の頭上では大の大人が二人やりあっているのだ。
「…もぅ、少し静かにしてくれない?父様も母様も。ローズマリィが眠たそうなのよ。」
……勿論、それは言わずに越したほうが良かったものだった。
「……誰のせいだと思っているのです!!」
セタイアンの怒号に親子二人と猫一匹は同時に耳を塞いだのだ。



チェルリスが解放されたのは夜が更けてからだった。
暗闇の回廊をたった一人で歩く。水を吸った髪からふわりと甘い香りが漂った。
食事の後風呂に入り怒られた事もすっかり忘れた(元より気にしてないが)。身体を流れる風はとても心地よい。
でも。
チェルリスは角を曲がって思わず足を止めた。そこでは数人の大人が回廊で言葉 を交している様だ。彼らはチェルリスの存在にまだ気づいていない。
「……本当に、次の当主はチェルリス様なのですか?」
「有り得ぬ!チェルリス嬢は男神の眷属だ、いくら尊き女神様の直系であろうと も、男神の性が当主など!」
「何故神殿の剣姫殿は彼女を指名したのだか…確かに彼女は優秀だ、しかしまだ ただの子どもであるし、その上男神の力など…」
彼らがチェルリス目を向けたのはその時だった。チェルリスは頭を下げて挨拶を する。しかしそれからすぐばつの悪そうな顔をして側の部屋に駆け込んだ、勿論 挨拶もなく。その中に足の悪い現当主の祖母がいたのをチェルリスは見逃さなか った。
誰もいなくなった回廊を自室を目指してひたすら歩く。いつもの明るい表情は消 えていた。でも、彼らを恨むつもりはない。
ただ唯一の直系の女子である自分が女神ではなく男神の眷属に生まれてしまった のがいけないだけ。人々はそれを『生まれそこない』と呼ぶ。
別に当主になどなれなくて良かった、最初は絶対になれないと思っていたし。だ が今年の初め、神殿の剣姫が占でチェルリスを指名してから、元々芳しくなかっ たチェルリスの一族内での風あたりが一層冷たくなった。
チェルリスは眷属の事を覗いては本当に素晴らしい当主の器である。だからか、 今まで六人しかいなかった最高の当主名、バレンシアを賜った。それも他の一族 が不満を漏らす理由の一つだ。
――憎き男神の眷属が、当主になど。
チェルリスは足を止め、胸元を探った。程なく紐をつけた白い羽飾りを掴み取る 。大切な預かり者だ、大切なただひとりの少年の。
羽の根元についた宝石がちかりちかりと瞬いた。これが今も彼が生きている、唯 一のあかし。
「あなたは…何処に、いるの?」
あの子は今どうしているのだろう。ちゃんと食べているだろうか、ちゃんと眠っ ているだろうか……どっちも心配だ、何せ好き嫌いは多いし、夢中になる事があ るとすぐ寝食を忘れる彼だ。
いつも、心配させて。チェルリスは小さく笑みを溢した。
でも、いつも助けて、守ってくれた。あの日もわたしを助けてあなたは……。
もう、頼れないのに、わたしはまたあなたに頼ろうとしている。あなたがいれば 、何を言われても、何をされてもへっちゃらなの。
本当に…わたしは駄目な人間だわ、だけど、あなたはまだわたしを覚えている?
「……ねぇ、スワン。」
小さく呼びかけた声は暗い闇にすうっと吸い込まれていった。



日差しが高くなりかけた午前はチェルリスの勉強時間である。眩しい日差しの中 で教科書に視線を向けるチェルリスに唯一の侍女であるフィンドは労りの声を掛 けた。
「お嬢様、お疲れになったでしょう?お茶をお持ちしました、どうぞお休みにな って下さい。」
「ありがとう、フィンド。」
チェルリスはそう答えて席を立つ、だが到底お茶をする気分にはなれなかった。
何故か、胸騒ぎがする。
「……フィンド、ちょっと薬草を見てきてもいいかしら?これだけ日差しが強い と、ちょっと心配だわ。」
「ええ…そうですわね、お気をつけて。」
チェルリスの言葉をフィンドは疑わなかった。チェルリスは普段勉強を放り出し てまで逃げ出す少女ではないとよく心得ているのだ。それに感謝してチェルリス は普段通り部屋を出る。しかしその後ろ手には…しっかりと自分の細剣を握っていた。
外に出てチェルリスはすぐ気配を探る。誰もいないのを確かめてからチェルリス はまず畑に向かった。
(なんだろう…街が、気になる)
家から“外”に近づくにつれ、チェルリスの予感は確信に変わっていった。畑を 出た所で彼女はとうとう走り出す。
ここはシトラスの街中心部までの近道だ。チェルリスはとにかくがむしゃらに走 った。



――シグヌス地方――女神の土地にだけ伝わる神話がある。
まだ、男神と女神が結納を交す前、戦の最中。
シグヌスの者に乞われ戦場に現れた女神は艶然と笑った。
「創造は永遠、破壊は一瞬の事よ…」
敵の姿は一瞬にして塵と化していた。
そう、時間をかけて必死に作り上げた物も破壊は一瞬なのだ。
女神は何処までもしたたかだった。戦は決してシグヌスだけのせいではない。
しかし、この国の者が女神の国の否を教えるのは、一重に女神の破壊の凄まじさ を物語っているのだろう――



破壊は一瞬なのだ。
「嘘…」
チェルリス目の前で神殿は大破した。
(どうして……昨日まで何ともなかったはず)
チェルリスの目に突然以前自分が書いた石板が思い浮かんだ。
神殿の破壊……それは、王子の目覚め。
(違う、今年は男神様方のはずよ、女神様のほうに生まれるはず…)
『でもね、こんな伝説もあるんだって。もし王子がね…』
幼げな少年の声が鮮やかに蘇る。
(王子が…双子…なら……)
瞬間、甲高い悲鳴にチェルリスは意識を取り戻す。そして、初めてそれを確認し た。無数の…何処の者とはしれない兵士の骸が、そこらじゅうに転がっている。
そして、街にも破壊の波が押し寄せる。
見えない力が、街を飲み込む。
「やめてぇぇ〜〜!!」
壊されてしまう、全てが。チェルリスは破壊の真っ只中に走り込んだ。
自分に何が出来ると思ったわけではない、ただ、助けたい。その気持ちだけが彼 女を動かした。
しかし、先に別の人影がまみえる。彼女を見て、チェルリスは絶句した。
「下がりなさい、チェルリス。」
「母様!?」
チェルリスの驚きに被さる様に、破壊の波は襲いかかる。
チェルリスの母…セタイアンはそれに向かって美声を張り上げた。
「終末の王子よ、去れ!この街を壊す事はたとえ女神様のおぼしめしでも許さぬ 。」



何処からか、懐かしい少年の気配が一瞬よぎった。
その名を呼びかけ、止まる。
チェルリスが自分を取り戻したのは母親が倒れた音だった……。

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